旅館/ホテル業営業


宿泊業の定義と種類

どのような行為が「宿泊業」になるのかについては、旅館業法(1948年法律第138号)において、旅館業とは、「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」であることとされ、「宿泊」とは「寝具を使用して施設(ホテル、旅館等)を利用すること」とされています。

厚生労働省の資料では旅館業にあたるかを判断する4つの判断基準として、(1)宿泊料徴収の有無、(2)社会性の有無、(3)継続反復性の有無、(4)生活の本拠かどうか、を示しています。

旅館・ホテル営業 施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のもの。
簡易宿所営業 宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、宿泊させる営業で、下宿営業以外のもの。
下宿営業 施設を設け、1ヶ月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業のこと。

旅館業法と建築基準法・消防法

宿泊業を営むためには旅館業法の理解だけではなく、建築基準法や消防法の理解も必要になります。

建築基準法と旅館業

建築基準法とは、建物を建築するうえで最も基本となる法律で、建物の用途で建築基準が比較的緩やかな「一般建築物」と、より厳しい建築基準が課される「特殊建築物」に大別されます。

旅館業法上の営業種別のうち、旅館・ホテル営業や簡易宿所営業の許可取得を行った施設は、建築基準法上は特殊建物の「ホテル又は旅館」に分類され、一般住宅よりも厳しい建築基準が課されます。

消防法と旅館業

消防法とは、火災を予防することにより国民の生命や身体、財産を火災から保護するとともに、火災や地震などの災害被害を軽減することなどを目的とした法律です。

火災から宿泊客の安全を確保するため、ホテルや旅館などの宿泊施設は、「防火対象物」として指定されており、消防用設備などの設置、防火管理の実施など防火安全対策を守ることが義務づけられています。

旅館業法上の営業種別のうち、旅館・ホテル営業や簡易宿所営業の許可取得を行った施設は、消防法上は消防法施行令第一5項(イ)に掲げる「ホテル、宿泊所その他これらに類するもの」に分類され、一般的なマンションよりも厳しい消防基準が適用されることになります。

営業許可申請

具体的な営業許可の申請の流れは、各都道府県で異なります。

1.事前相談

施設の工事を着工するよりも前に、設計図などを持参して保健所または保健福祉事務所に相談する必要があります。
また都市計画法や建築基準法、消防法といった関係法令による規制対象になっている場合もあります。
そのため、同じように着工前に土木事務所や消防本部といった各機関に相談する必要があります。

 

2.距離証明の手続き(必要なケースのみ)

新規に旅館業(宿泊業)の経営を始める、あるいは移転するケースなどで、施設の周辺(100〜200mなど距離は異なります)に保全施設(学校や児童福祉施設など)がある場合に必要な手続きです。

 

3.申請書、添付書類の提出および申請手数料の納付

各都道府県でやや異なりますが、基本的には営業許可申請書のほか、こうした書類および申請手数料が必要になると思っておきましょう(申請手数料も各都道府県で異なります)。
滋賀県の審査基準は以下の手引きでご確認ください。

【滋賀県】旅館業許可取得の手引き

 

4.現地調査および構造設備などの検査

保健所の調査員の方が、申請した内容と相違がないか、構造設備基準や衛生基準をクリアできているかなどを確認するため、現地調査をおこないます。この調査には立ち会いが必要です。

 

5.営業許可証の交付、営業開始

現地調査で問題がなければ、晴れて営業許可証が交付され、営業をスタートすることができます。許可証が交付されるまでの期間は各都道府県で異なりますが、おおよそ15日程度を見ておくとよいでしょう(土日祝、年末年始は除く)。

旅館業に関するその他の届出

変更届

営業者の変更、名称の変更、設備や管理者の変更などさまざまな変更が生じた場合、届け出る必要があります。

停止届/廃止届

旅館業(宿泊業)の営業を一時的に停止したい場合、あるいは廃止したい場合も、届け出る必要があります。

再開届

停止していた営業を再開したい場合、再開前までに届け出る必要があります。毎年5〜9月など季節営業をする場合でも、毎年再開前に届出が必要です。

継承承認申請届

営業者が亡くなり、旅館業(宿泊業)の営業を相続した場合、その旨を申請する必要があります。


行政書士 山口 功

行政書士 山口 功

滋賀県行政書士会登録 第1321号       申請取次行政書士(阪行)第19-6号       建設キャリアアップCCUS登録行政書士

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