飲食店営業許可


飲食店を開業するためには、保健所に申請を行い、営業許可証を取得する必要があります。
無許可で営業すると、食品衛生法や風営法違反となり、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が課せられるので注意しましょう。

飲食店営業許可の基礎知識

飲食店営業許可申請の時期

新たに飲食店や喫茶店を営業しようとする場合には、食品衛生法に基づく飲食店営業許可が必要です。
保健所による現地検査があり、この検査に合格すると数日後に飲食店営業許可証が交付されます。
現地検査があることから計画段階で申請するのではなく、店舗・厨房設備等がほぼ完成した段階で申請をすることになります。
ただし、自己判断で内装を完成させてしまうと許可要件を満たさなくなる恐れがありますので、計画段階で弊事務所に相談いただく、または保健所で事前協議をおこないましょう。

飲食店営業許可の要件

食品衛生責任者の専任

飲食店営業許可を取得するためには、食品衛生責任者を必ず配置してください

栄養士や調理師の資格のある人は食品衛生責任者になることができますが、それらの資格がない人は食品衛生責任者講習を受講する必要があります。
地方によっては講習会の開催がまばらなところもありますから、なるべく早い段階で受講を申し込んでおきましょう。

★食品衛生責任者の必須要件

  • 栄養士、調理師、製菓衛生師、食品衛生管理者などの資格保有者
  • 食品衛生責任者養成講習会の受講者
  • その他、知事などが適正と認めた講習会の受講者

客室から区切られた厨房を設けること

厨房はカウンターやスウィングドアなどで仕切られた区画が必要です。
また厨房の床の仕上げは、タイル・コンクリートなどの排水性のよいものでなければなりません。

流し台は2槽で1槽の内径は45㎝(幅)×36㎝(奥行)×18㎝(深さ)以上が基準です(東京都の基準)。

その他従業員の専用手洗い設備を設置することや厨房とは離れた清潔な場所に更衣室を設けることなどが定められています。

基準を満たした設備があること

飲食店には客が使用する手洗い場を設けなくてはいけません。配置は厨房に影響のない場所とし、専用の手洗い設備の設置が必要です。
その他床材が耐水になっていること、扉付きの収納があること、床・壁・天井が平たんであること、換気の設備があること、便所があること等、細部にわたり要件が定められています。

提出書類

・営業許可申請書
・施設の構造及び設備を示す図面(2通)
・食品衛生責任者の資格を証明するもの(食品衛生責任者手帳等)
・水質検査成績書(貯水槽、井戸水を使用する場合)

申請から開業までの流れ

申請から開業までのおおまかな流れは次のとおりです。

  1. 飲食店営業許可の申請を行う
  2. 保健所による立入検査を受ける
  3. 飲食店営業許可証を受け取る
  4. 消防署に防火管理者を届け出る(収容人数が30名以上の施設の場合)
  5. 飲食店の営業を開始する

① 飲食店営業許可の申請

営業許可申請書

申請者の氏名・住所、店舗の所在地、名称、食品衛生責任者の氏名などを記入する書類です。

施設構造と設備を示す図面

調理台や客席、トイレ、従業員の更衣室など、店舗に配置するすべての設備を大きさに至るまで細かく記載した図面を、着工前に施工業者から取り寄せ提出します。

食品衛生責任者の資格を証明するもの

各資格を証明する免許証や講習会受講後に交付される食品衛生責任者手帳(確認証)など、資格を証明するものの原本または写しを提出します。

水質検査成績書

水道水、専用水道、簡易専用水道以外の水を使用する場合は、水質検査成績書の提出が求められます。貯水槽の水や、井戸水などを使用するケースが該当します。
水質検査成績書は建物の管理者や不動産業者から取り寄せるか、専門の検査機関に依頼して取得します。
提出日の直近1年以内に発行されたものでなければならないため、場合によっては検査を新たにする必要があります。

登記事項証明書(法人の場合のみ)

法人が申請する場合は、登記事項証明書の原本または写しを提出します。
定款の目的の部分に、飲食店経営やレストラン経営、カフェ経営といった飲食店の経営に関するワードが記載されているかチェックしましょう。
法人は定款の目的に定められた行為しかできないため、もし定款の目的に飲食店経営らしき文言が見当たらなければ、目的変更登記が必要です。どのような文言であれば問題ないか、変更登記前に保健所に問い合わせておくと書類の準備がスムーズに行えます。

② 保健所の現地検査を受ける

営業許可申請後に、保健所が施設の立入検査を行います。万が一不備があった場合は改善後の再検査となるため、検査までに規定通りの設備を整える必要があります。

保健所による現地検査で重視されるポイント
  • 屋外や建物内の住居などとは隙間のない構造(壁、ガラス戸、天井など)で遮断する
  • 調理室は壁やカウンターなどで客席とわけて、出入り口には扉を設ける
  • 床面や内壁、天井は清掃しやすい材質・構造にする
  • 調理室には使用しやすい場所に石けんやペーパータオル、消毒剤などを配置する
  • 衛生的な手洗いができる十分な大きさを確保する
  • 水栓は肘で止水できるレバーや足踏みペダルなど洗浄後の手指の再汚染を防ぐ構造にする
  • 食品などを洗浄するため、使用目的におじた大きさ・数のシンクがある
  • 冷蔵または冷凍設備があり、見やすい位置に温度計を備える
  • 従業員のトイレは調理室に直接出入りできない場所に設置し、専用の流水式手洗い設備を備える

③ 飲食店営業許可証を受け取る

検査の結果、問題ないと判断されたら営業許可が下り、営業許可証が交付されるため、保健所の窓口で受け取ります。
許可証は店舗の見える場所に掲示しましょう。

④ 防火管理者の届出

飲食店の営業開始日までに、管轄の消防署へ防火管理者の届出書を提出する必要があります。
提出時には、同じ内容の届出書を「消防署保管用」と「事業所保管用」の2部用意します。

また、防火管理者の防火・防災管理講習修了証(手帳)の原本をあわせて提出します。

⑤ 営業を開始する

営業許可証を受領し、防火管理者の届出が完了したら、飲食店としての営業が開始できます。
営業を開始するにあたっては、食品衛生責任者の氏名を店舗に掲示しなければなりません。

まとめ

飲食店営業許可証は、「人」にかかるものではなく、「場所」や「設備」が法令に適合しているかどうかを保健所が検査・確認し発行されます。
2021年6月に制度改正が行われたため、居抜き物件を引き継いで開業する場合であっても、新基準を満たしているか確認する必要があります。

お問い合わせはコチラ 👉 やまぐち行政書士事務所 📞0749-50-9865

 


行政書士 山口 功

行政書士 山口 功

滋賀県行政書士会登録 第1321号       申請取次行政書士(阪行)第19-6号       建設キャリアアップCCUS登録行政書士

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